企業経営理論対策~中小企業診断士試験一次試験対策その1~

中小企業診断士
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中小企業診断士の勉強を始める際、ほとんどの人が最初に手を付けるのがこの企業経営理論でしょう。多くの予備校で一番最初に学習する教科であり、受験対策本でもほぼ最初に出てきます。それだけ、この科目が中小企業診断士試験全体に及ぼす影響が大きいということでしょう。経営戦略論や組織論など、概念が抽象的で理解しづらい内容が多いこの教科、どのように攻略していけばよいかについてご説明いたします。

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最初はちんぷんかんぷんでもOK!

企業経営理論は、大きく以下の3つに分かれています。

  1. 成長戦略や競争戦略などの経営戦略論
  2. 組織構造や組織行動および人的資源管理などの組織論
  3. 消費者や組織の購買行動および製品・価格・流通・プロモーションなどのマーケティング論

ビジネスパーソンである前に一般消費者でもある私たちの立場からすると、マーケティングは馴染みやすい内容でしょう。しかし、問題は経営戦略論や組織論です。大学であれば経営学部、企業であれば経営企画室にでもいない限り馴染みのない内容です。まして組織論などは人の心の動きとつながりが強いため、非常に抽象的で理解がしづらいことと思います。

ですから、最初に学習したときにちんぷんかんぷんになったとしても落ち込まないで大丈夫です。わからないのはあなただけではありません。受験生全員わかっていませんので(笑)。

それでも、私のこの記事の内容をしっかり実践し続ければ、一次試験直前期にはちゃんと解けるようになっていますので安心して取り組みましょう。

インプット時期にも多くの演習に触れよう

企業経営理論を攻略するためのアプローチは、インプット時期にもなるべく演習に触れることです。全体対策の記事でインプット時期のインプットとアウトプットの比率は7:3ぐらいと書きましたが、いくらテキストを読んでも理解できない箇所が出てくるのがこの科目。先に演習を解くことで具体的なパターンを理解し、その後テキストに戻って抽象的な概念を理解するアプローチでもかまいません。

たとえば、競争戦略の中で出て来るバリューチェーンについて以下のような記述があったとしましょう。

業界構造分析し、差別化や低コスト化によって高い収益性を確保するためには個々の企業活動を整合化していく必要がある。バリューチェーンとは、そのための枠組みであり、事業活動を機能ごとに分解し、どの部分(機 能)で価値 (差 別化や低 コスト化)が 生み出されるのか、どの部分に強み・弱みがあるのかを分析するものである。

どうでしょうか?具体的なイメージが湧くでしょうか?ぶっちゃけ湧かないですよね?(笑)ですから、イメージが湧かない場合はその分野の過去問や問題集の問題にさっさと取り組んでしまいましょう。

どこが間違っているかを明確に「言葉にできる」ようにしておこう

問題を解く際に重要なのは、どこがどう間違っているのかをきちんと説明できるようにしておくことです。

たとえば、平成19年度の第4問。

IT(情報技術)を利用した新規事業の成功事例が次々に生まれている。このような新規事業に関する説明として最も適切なものはどれか。


  • ITは誰もが利用できる完結した技術システムであり、コア・コンピタンスである固有の情報や知識などの資源をベースにする必要が全くない点が、ITビジネスの大きな特徴である。

  • IT利用によって、顧客に提供する製品・サービスの価値や情報を広く伝えることが出来るようになるが、その反面で、IT機器への投資が巨額になるので収益性が低下することは避けられない。

  • IT利用の新規事業では、顧客の求める価値を提供できるようにビジネスを設計することが大切であるが、その設計アイデアは概して他社に見えやすく、模倣されやすいので、それを防ぐ手段を講じることの重要性を軽視してはならない。

  • ITを利用した新規事業の成功事例は、しばしばビジネス・モデルと呼ばれるが、これはビジネスのアイデアやデザインについて知的財産権が確立されたものを指している。

  • ITを利用して自社に特徴的な分業の構造、インセンティブのシステム、情報、モノ、カネの流れなどを統合化する場合、独創性に欠けたものになるので自社の強みが薄らぐことに注意しなければならない。

適切なものを選択するわけですから、間違っている選択肢のどこがどう違うのかを明らかにします。


  • 「ITは固有の情報や知識などの資源をベースにする必要がない」というのが間違い。ITビジネスにおいても、自社固有の知識や情報などの資源を基礎に考える必要があります。

  • 前半は間違いではありませんが、後半の「収益性が低下することは避けられない」が間違い。AmazonやFacebookなどはITを活用することによって大きく収益性を上げている事業体です。

  • 「設計アイデアは概して他社に見えやすく」の部分が怪しい感じがしますが、間違っているとも言い難いので一旦据え置き。

  • 「知的財産権が確立されたもの」が間違い。知的財産権が確立されたものはビジネスモデル特許ですね。

  • 「独創性に欠けたものになる」が間違い。「自社に特徴的な分業の構造」を作り上げたのであれば、独創性に富んだものになるはずです。

よって、消去法でウが正解、となるわけです。このように、どこがどう間違っているのかをきちんと自分の言葉で語れるようになっておくことが非常に重要です。そして、演習が教科書のどの部分のことを指しているのか振り返ってみて、さらに理解を深めるようにしましょう。

演習の数をこなすより1問にじっくり取り組もう

企業経営理論の問題の作り方として、「日本語としておかしい」選択肢や「明らかな間違いがすぐわかる」選択肢は作りづらい傾向にあります。一度ご自分だったらどんな問題を作るかを考えてみるとよくわかるのですが、抽象的な概念が多いため、具体的な問題に落とし込むと、大体のことが正解として当てはまってしまうのです。ですから、選択肢のほんの一部だけが違っているような問題の作りになることが多いです。

くわえて、設問の前提条件や選択肢自体の文章が長く、1問を解くのにかなり思考力を要求されます。その分、1問から得られる学びはとても大きいので、演習の数を沢山こなすよりも1問にじっくり取り組んで、

  • 選択肢のどの部分が間違いの表現なのか
  • 逆に、間違いの表現が正しかったとしたら、他のどの部分をどう修正すれば正解になるか
  • 間違いを表現している選択肢を正しい表現に直したとして、身近なケースやニュースに当てはまるものが何かないか

など、1問をあらゆる角度から眺め直し、周辺の知識をどんどん身に付けていきましょう。このスタンスは、他の科目を学習するときにも役に立つので、序盤の企業経営理論に取り組むときに、基本スタンスとして身に付けておくことが大事です。

わからないところはGoogleなどを活用してどんどん調べよう

演習を解いていると、ついつい「分からない言葉」をわかったつもりになって読み飛ばしてしまうことがあります。しかし、中小企業診断士試験でこれは禁物です。ちょっとでも「ん?これはどういう意味だ?」と思う言葉や表現があれば必ずググって調べるようにしましょう。たとえば、先の過去問の例題に出てくる

「収益性」

という言葉。具体的にはどういう意味で使われているでしょうか?売上が高いことを示す言葉?あるいは売上から費用を引いた利益が高いことを示す言葉?それともその両方?など様々な解釈ができます。もう一つ、

「分業の構造」

という言葉。分業はイメージしやすいですが、「構造」ってなんでしょうか?仕組み?骨組み?出題者はどのような意図でこの「構造」という言葉を使ったのでしょうか?ちなみに、goo国語辞典によると以下のように記されています。

  1. 一つのものを作り上げている部分部分の材料の組み合わせ方。また、そのようにして組み合わせてできたもの。仕組み。「家の構造」「体の構造」「文章の構造」「構造上の欠陥」

  2.  物事を成り立たせている各要素の機能的な関連。また、そのようにして成り立っているものの全体。「汚職の構造が明らかになる」「経済の二重構造」「社会構造」「精神構造」

  3. ある集合で、演算または二点の遠近関係の規定などの数学的性質が与えられるとき、この集合の要素間の関係。数学的構造。

ここまで調べて、分業の構造とは「仕事の役割分担のそれぞれの関連」のように解釈することができます。

普段何気なく目にしている単語でも、一度基本に立ち返ってしっかり調べてみてください。新しい気付きがかならずあるはずです。

このように、正直難解な言葉が多くてとっつきづらい企業経営理論ですが、じっくり腰を据えて取り組むことで徐々に成果が出るようになってきます。他の科目と違って一番成果が出てくるのが遅いのがこの科目。焦らずじっくり取り組みましょう。

最後に、当日取り組むテキストの内容と問題は前の日の夜にはピックアップしておく事を忘れずに(かける時間は1対1ぐらいでOK)

クレアール

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