【書評】良い戦略・悪い戦略

投稿者: | 2019年8月11日

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MBAでは膨大な量の書籍の精読を求められます。書籍を読んで理解しただけではだめ。書籍の内容を踏まえて、自分の考えなどをアウトプットしなければ評価されません。今回は、2019年度前期に読んだ書籍の中で最も読み応えがあった書籍を紹介します。

著者は戦略論の大家「リチャード・P・ルメルト」

ルメルトは、エコノミスト誌の「最も影響力ある25人」に選出されたほか、マッキンゼー・クォータリー誌においては「戦略の戦略家」「戦略の大家」と位置付けられている、戦略論の大家と言っても過言ではない人物です。

そんなすごい人が書いた本だったらさぞ読みにくいのだろうかと思いきや、意外とすんなり理解できる内容です。書籍の作りと論理構成が非常にシンプルで、メッセージが一貫しているからでしょう。

したがって、戦略論に慣れている方も、戦略論を学ぼうと思っているビギナーの方もどちらにもいろいろな角度からの気付きが得られる書籍です。

リソース・ベースド・ビューに重きをおいた戦略家

戦略をざっくり(本当にざっくりです)2つに分けるとするならば、ポジショニングビュー派とリソース・ベースド・ビュー(以下、RBV)派に別れます。前者は、有効な戦略は「他社や多事業との差別化されたところにいかに独自のポジションを築くか」によって決まるという方々。後者は、有効な戦略は「企業その他の集団で働いている人・モノ・カネ・情報・ノウハウ等の経営資源が以下に優れているか」によって決まるという方々。

前者の代表的な学者がポーターなら、後者の代表的な学者がルメルト、という感じです。実際にはそれぞれが混在しており、時と場合によってどちらかが強く表面化する、という感じかと思いますが。

ポーターが戦略・マーケティングの大家として著名であるのに対して、ルメルトはそこまで著名ではありません。おそらく著書の数が少ないからでしょうが、著書の数に反比例するように、1冊の読み応えは抜群です。そして、この「良い戦略・悪い戦略」も何回でも読み直したくなる書籍です。

良い戦略は、『診断』『基本方針』『行動』という基本構造を持っている

本書では、良い戦略の具体例が示され、何が良かったのかが丁寧に説明されます。一般的な戦略理論の書籍と違って本書が素晴らしいのは、経営だけに的を絞っていない点です。たとえば、ハンニバルの戦略立案によりカルタゴ軍5万人に、8万人のローマ軍が大敗北した例など、実際の軍隊の戦いを戦略論として捉えて丁寧に解説してくれます。

それらの解説から導かれるのが、『良い戦略は「診断」→「基本方針」→「行動」という基本構造を持っている」(ルメルトはこれを「カーネル」と呼んでいる)ということです。この主張は一貫しており、本書の中で登場する様々な事例に当てはめることができます。

しかし、私は最初に取り組む「診断」がカーネルの中で一番難しいと思うのです。なぜなら、目指したい姿を定義し、複雑に絡み合った事象をときほぐして目指したい姿とのギャップすなわち課題を見極めるには、高度な問題解決の論理構成力が必要とされるからです。そうでなければ、「診断」つまり、見極めなどできるわけありませんから。

このあたりの難しさについては本書には記されていません。問題発見や問題解決の領域になります。この難しい部分を体得するには、以下の書籍がおすすめです。

悪い戦略は?

悪い戦略の具体例も示されます。そして、悪い戦略はメタクソにぶった切られてます。そして、悪い戦略は、なんと「日本企業のあるあるネタ」で溢れかえっています。もちろん、ルメルトが日本企業のことを詳しく研究したわけではありませんから、組織や集団が一般的にとる「悪い戦略」を描いているのでしょうが、あまりにも平成の30年の間の日本企業に当てはまりすぎてちょっと背筋が寒くなりました。なぜなら、日本企業は今こそ変わらなければいけない、ということを10年近くも前に提唱されていたということですから・・・。

良い戦略があるなら、当然悪い戦略もある。巷の戦略論の本では読むことのできない、企業経営以外の部分の戦略論と良い戦略・悪い戦略の具体例、そしてどういう心構えで戦略を考えなければならないかが丁寧に綴られています。

「戦略」に興味がある方はぜひ呼んでみることをおすすめします。

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