「いきなり!ステーキ」苦戦の原因を経営学的に分析してみた

投稿者: | 2018年12月29日

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「いきなり!ステーキ」といえば、業界初の立ち食いステーキ店として数年前に話題をさらいました。そして、2018年末時点で苦境に陥っているというニュースが入ってきました。

https://toyokeizai.net/articles/-/257727

なぜ苦境に陥ったのかについて経営学的に分析してみようと思います。

ビジネスモデル設計

「いきなり!ステーキ」のビジネスモデルは、立ち食いにすることにより顧客収容率と顧客回転率を高め、原価率が高くてもそれ以上の売上高を獲得するというモデルです。

したがって、店舗には常に顧客が溢れかえっている状態を作る必要があるわけですね。そのために必要なのは、適度な低価格と店舗へのアクセスのしやすさ、頻繁なキャンペーン等の実施による強い集客力の継続です。

このビジネスモデルを実際に行っているのが「俺のフレンチ」などで知られる俺の株式会社です。店舗によっては立食ではなく着席型の店舗もありますが、席と席の間を狭めたりする工夫と営業時間(時間帯区切りの予約制など)により、常に店舗には人が溢れかえっている状況をうまく作り上げています。

「いきなり!ステーキ」も基本的なビジネスモデルは同じです。ですから、事業開始当初は非常にうまく行っていました。

では、なぜここに来て失速したのでしょうか?

ビジネスモデルの実践

ビジネスモデルの設計がうまく行っているからといって、実践がうまくいくかというと違います。設計図通りに実践したつもりでも、外部環境は日々変化しますし、設計には逐次変更を加えていく必要があります。私の見立てですが、俺の株式会社と取り扱い商材が違うことを深く理解できていなかったこと、価格設定が甘いこと、そして出店戦略が甘いことに原因があると考えます。

俺の株式会社と取扱料理の違い

俺の株式会社といきなり!ステーキは、双方とも一般的には高級と思われる料理をリーズナブルに提供している点については同じです。しかし、ステーキハウスは他の企業が提供しているように午前中から夜間まで開店しています。一方、フレンチやイタリアン、寿司などについては、開店時間を夜に限定しても特に違和感がないという特徴があります。

いきなり!ステーキの失敗の1つは、普通のステーキハウスと同じようにどの時間帯にも開店してしまったことによって、「いつでも行ける」感が広まってしまい、顧客収容率が思ったより上がらなかったことかと考えます。

他のステーキハウスと差別化し、より高級路線を演出して夜しか開いていないステーキハウスとしたのであれば、顧客収容率を高めることはできたのではないでしょうか。

価格設定

次に価格設定です。

一言で言うと、大して安くないんです。

昼間から開店していて、普通に座ることもできるステーキハウス。原価率が高いのはわかりますが、値段が安くないな、と感じてしまうとリピーターが減ります。いっその事、夜間だけ開店にしてもう少し値段を上げるなどにしたほうが、高級感があってよかったのかもしれません。

値段を落とす戦略で行くならば、もっともっと顧客を呼び込まないといけません。そのためのプロモーション力が弱かったのも原因の一つでしょう。

出店戦略

最後に出店戦略です。先に書いたとおり、顧客収容率と回転率をいかに高めるかがこのビジネスモデルの肝です。

にもかかわらず、ロードサイドへの出店を加速してしまっているのです。一般的にロードサイドは土地代や家賃などの出店コストは低く住みますが、店舗面積が広いため、顧客収容率を高めるには相当な集客努力をしないといけません。

さらに、ロードサイドは他のステーキハウスの主戦場でもあります。そのような既存市場の主戦場に殴り込みをかけるのであれば、他のステーキハウスとの明確な違いを打ち出さないといけません。にもかかわらず、他との違いは量り売りぐらい。これでは顧客収容率も回転率も上がりません。

加えて、ロードサイドは24時間営業の風土が根付いていますから、夜間だけ開店するわけにも行きません。

顧客収容率と回転率を高めて利益を稼ぐビジネスモデルなら、間違ってもロードサイドには出店しません。駅前であと数年勝負して投資資金を貯めた上で、エアーポケットになっている地域に限定してロードサイド出店する流れを取った方が安全です。

ビジネスモデルは優れていても、それを実行する方策(特に出店戦略)がトンチンカンだったために苦境に陥っているのだろうと予想できます。とはいえ、ステーキの味自体は悪くないので頑張って欲しいのですが・・・。

特に出店において優秀なアドバイザがいなかったのか、そのあたりが悔やまれます。

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