最近話題のリベラルアーツってオイシイの?

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最近、巷で「リベラルアーツ」という言葉がささやかれるようになっていることをご存知でしょうか?

ん?ご存じない?大丈夫です。私も「は?なにそれ?美味しいの?」状態でしたからw。そこでまずはどんなもんかと本屋さんに行ってみると、あるわあるわ平積みの書籍。調べてみると、フムフムこれは私たちにとても役立ちそうだぞと感じましたので、ここにまとめておこうと思います。

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リベラルアーツとは何か?

最初に言葉の定義をはっきりさせておきましょう。リベラルアーツという表現の原義は「人を自由にする学問」で、それを学ぶことで一般教養が身につくものとされています。ギリシャ・ローマ時代に源流を持ち、具体的には文法学・修辞学・論理学・算術・幾何・天文学・音楽の7科のことを指していたようです。大学に入学して最初の2年間に「教養部」というところで学んだ方も多いことでしょう。現代では、広く一般的な教養を身につけるための教育のことをリベラルアーツとして解釈されているようですね。

翻って現代。私たちはとても変化の早い世の中に生きています。そのような中、大学は研究機関というよりは学生にとっての就職予備校の色を強く帯びているのです。そして、短期的な成果を世間から求められる企業にとって必要なのは即戦力の学生になってきました。このような流れから、1991年に当時の文部省が「大学設置基準の大綱化」を打ち出し、それをきっかけに全国の大学の「教養部」の多くが解体されてしまいました。

しかし、教養部がなくなったことで、若手の社会人に対して「教養がない」という評価がなされるようになってしまいました。即戦力が必要と言ったり、教養が必要と言ったり、社会は勝手なものですね。そういうこともあり、近年各地の大学で、文系・理系の区別なく幅広い知識を得た後に、専門性を深めることで、豊富な知識に裏打ちされた創造的な発想を可能とする事を目的に、リベラルアーツを学ぶことを1,2年時に義務付ける大学が増えてきています。

誰にとってどのような点が役に立ちそうなの?

さて、リベラルアーツが「専門性を高めることを目的に、文理の境なく豊富な知識を身につけ創造的な発想を可能とするための学問」であることがなんとなくわかってきました。つまり、リベラルアーツを学ぶことで創造的な発想を身に付け専門性を高めることができる、ということです。さて、ここで問題になってくるのが専門性ですね。専門性って誰にとってのどんな専門性かっていう話です。

こちらを読んでくださっている方々は、おそらく「中小企業診断士」という資格に何かしら縁のある方でしょうから、ここからは中小企業診断士としての専門性を高めるためのリベラルアーツってなんじゃらホイ?って観点で考えてみようと思います。

中小企業診断士に必要な専門性とは?

中小企業診断協会のWebサイトには、「中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です」とあります。つまり、中小企業診断士は、「中小企業」の「経営課題」を「診断」し、それに対して「適切な助言」を行う専門家、ということなのです。
したがって、中小企業診断士は以下に関する専門性を備えておく必要があるといえます。

  1. 中小企業の経営課題に関する専門性
  2.  診断に関する専門性
  3. 助言に関する専門性

察しの良い方は気づいたかもしれませんが、上記Ⅰを「人体に関する専門性」に変えると、お医者さんになるんです。つまり、中小企業診断士とは、中小企業にとってのお医者さんだと言ってもいいでしょう。少し脇道にそれますが、高齢化が進み世界一の長寿国になっている日本では「治療するための医療」から「予防するための医療」に視点が切り替わり始めています。国民医療費は2015年度には45兆円、2025年度には60兆円を超す見込みとなっており、国家予算の観点から見てもなるべく病気にかからないようにすることが必要になってきているのです。
翻って、中小企業を含む企業の経営について。SNSを通して消費者から常に情報が発信され、流行り廃りがものすごいスピードで入れ替わる今日、企業が世の中に認められるためには、かなりのスピードで新しい価値を提供し続けなければなりません。このような時代においては、企業の問題が顕在化してから対処をする従来型の問題発見・解決のアプローチではなく、世の中小企業が健康状態を維持しながら走り続ける事ができるように、適切な予防策を提示していくことが求められていくのではないでしょうか。

中小企業診断士に必要なリベラルアーツとは?

世の中の中小企業の健康維持のための診断および助言を中小企業診断士に求められる価値であると仮定すると、中小企業診断士に求められる専門性は以下のように書き換えることができます。
① 中小企業の経営課題の予兆を発見する専門性
② 診断に関する専門性
③ 助言に関する専門性

中小企業の経営課題の予兆を発見する専門性を磨くための基礎的教養

こちらに関しては、経営課題を見極める専門性と、将来の予兆を予見する専門性の2つに分けて考えてみましょう。

経営課題を見極める専門性を磨く基礎的教養

企業の経営課題にはさまざまなものがあります。それこそ、営業面、マーケティング面、生産面、そして組織面など、枚挙に暇がありません。しかし、ちょっと考えてみましょう。一体何がどのような状態になれば課題であるといえるのでしょうか。そして、課題が見つかったとして、それをさまざまな面から細分化するにはどうすればよいのでしょうか。何がどうあれば課題だといえるのか?それは本当に課題といえるのか?もっと別の本質的な課題があるのではないか?経営課題をあきらかにするには、この禅問答のような問いを常に自分自身に問い続けないといけません。そして、課題を因数に細かく分解していかないと本質的な課題にはたどり着くことはできません。したがって、経営課題を見極める専門性を磨く基礎的な教養は、論理学であるといえるでしょう。

将来の予兆を予見する専門性を磨く基礎的教養

時間軸で考えると、将来とは過去の延長上に他なりません。すなわち、過去に起こったこと、その背景、登場人物の意図などを学び、現在起こっている事象に置き換えてみることによって将来を予見しやすくなります。たとえば、豊臣秀吉の軍師として有名な黒田官兵衛は、武田信玄も上杉謙信も失敗した難攻不落の小田原城の北条攻めにおいて、ただ一人刀も持たず小田原城に乗り込み、相手の面目を保つ官兵衛の賢慮のある交渉を行うことで小田原城を降伏させました。このことは、「戦わずして勝つ」という孫子の兵法の原則を貫く戦略です。
翻って現代、AmazonはクラウドサービスのAmazon WebServicesのシェアを広げるために、サービス開始当初は個人でプログラミングなどを趣味にしている一般消費者をターゲットに絞りました。法人はターゲットにしていなかったので、法人向けにクラウドサービス(当時はまだホスティングとよばれていた)を提供している事業者とは競合しません。そして、徐々に技術好きなエンジニアたちを囲い込み、タイミングを見計らってコミュニティを発足させ、企業をまたがった技術と知識の流通拡大に乗り出します。そして、クラウドといえばAmazonという認知が広がるのを待ってからようやく企業向けにクラウドサービスの拡販を開始したのです。その頃には他のクラウドサービスプロバイダもAmazonの巨大な認知度を無視できなくなっていたので、協業せざるを得なくなりました。これが、Amazonが築いたエコシステムであり、現代の「戦わずして勝つ」を体現している良い事例でしょう。
このように、過去の歴史の論理に学び、それを将来の予測に役立てることは可能なのです。したがって、将来を予見する専門性を磨く基礎的な教養は、歴史学といえるでしょう。

診断に関する専門性を磨くための基礎的教養

医学に置き換えて考えると、診断とは人体の問題と思われる箇所を確認し、問題であると判断することです。この、「判断する」というところが重要です。なぜなら、判断をするということは、「責任を負う」ということに他ならないからです。そして、判断をするためには膨大な医学の知識と診療の経験に裏付けられた根拠が必要です。
企業を相手にした診断においては、企業経営に関する膨大な知識と企業経営の経験が必要であるといえるでしょう。医学でも、企業診断でも共通しているのは、患者や企業の観測事実とバックグラウンドの知識を照合し、仮説を立てて責任を持って判断を下すということでしょう。観測事実から仮説を立て、判断を下すのは自然科学で最もよく使われるアプローチです。自然科学は大きく理論系と実験系に分けることができますが、この実験系がそれに当たります。自然科学の中でも、星の動きから地動説をとなえたコペルニクスや、りんごが木から落ちることから万有引力を発見したニュートンなど、特に物理学の世界が観測事実と仮説立案の世界に近いと考えることができます。したがって、診断に関する専門性を磨くための基礎的教養は自然科学、中でも物理学であるといえるでしょう。

助言に関する専門性を磨くための基礎的教養

企業の経営課題を見極め、将来起きるであろう予兆を発見し、仮説と検証を繰り返して課題の解決策を立案しただけでは終わりません。解決策を描いただけでは絵に描いた餅ですので、経営者に対して適切に助言をしなければなりません。「適切に」とは、「相手が行動を起こせるように」と捉えて下さい。助言は、実行されなければ意味がありませんから。
経営者に行動を起こさせるような助言には3つのポイントがあります。

① 相手がワクワクするような言葉選びと間の取り方
② 明日からすぐできることを伝えること
③ 定期的なチェックポイントを伝えること

このポイントを踏まえて助言をすれば、相手に行動を促すことができるでしょう。
このポイントの中で最も大事なのは、言葉選びです。経営者に火をつける言葉を選ばないといけません。相手も人間ですから、いろんな方がいます。火をつける言葉も人それぞれです。ですから、助言をする側は膨大な量の言葉を知っておく必要があります。つまり、語彙力を高める必要があるんですね。語彙力を高めるのに必要な学問は何かと言われるとおそらく現代文ということになろうかと思いますが、現代文の問題集をとけば良いというものではありません。語彙力を高める一番良い方法は、読書です。特に、なるべく多くの作家の小説を読むのがオススメです。ビジネス書は、論理構成がわかりやすくなるように作られていますから、相手に火をつけるような言い回しなどはほとんど使われませんので、ビジネス書はあまりオススメしません。

明日から何をすれば良いか?

中小企業診断士に必要な基礎的教養についてここまで論じてきましたが、じゃぁ明日から一体何すりゃいいの?って話ですね。

私が必要だと考えるのは、論理学、歴史学、自然科学(物理学)、現代文(読書)でした。これらを効率よく学ぶ方法は、歴史小説を読むこと、そして自然科学者の伝記を読むことです。高校物理の教科書を読み込むのも良いですが、実験と仮説検証をどのようにやったかは、科学者がどのように考え、どう仮説を立てていったかを学ぶのは伝記がよいでしょう。

 

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