グロービスのMBA単科・クリティカルシンキングでMVP頂いたお話

投稿者: | 2017年10月11日

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つい先日9月末までの3ヶ月間、グロービス(GLOBIS)というMBAの科目を学べる学校に通っていました。科目はクリティカル・シンキング。俗に言うロジカルシンキングと同じだろうと思う人もいると思いますが、違います。

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クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違い

クリティカルシンキングはプロセスで、ロジカルシンキングは結果

ロジカルシンキングというのは読んで字のごとく、論理的に考えるということ。でも論理的に考えるって、どうやればいいかわかりますか?論理的に考えられているかの確認ってどうやりますか?世の中にたくさんロジカルシンキングの書籍は出回っていますが、具体的なプロセスを書いてあるものは実は少ないのです。

それに答えるのがクリティカル・シンキング。自分自身の考え方を客観的、批判的に見直し、結果的に論理にかなった考え方を身につけていくというものです。クリティカルシンキングを行った結果として、ロジカルな合うアウトプットが出せるようになります。

なんとか学びを成果に結び付けたい、身につけたいとの思いから、講義中の発言やML上での発言(ボケ発言も含む)、勉強会の場所提供など積極的に動いたおかげか、他の受講生の皆さんからの投票でMVPにも選んでいただき、とても充実した3ヶ月でした。

せっかくですので、(著作権に触れない範囲で)このカリキュラムの魅力についてお伝えしようと思います。

3か月全6回の講義だけではない濃密なプログラム

カリキュラムは、大きくコミュニケーションと問題解決の2つに別れており、前半の3回(約1ヶ月半)でコミュニケーションパートを、後半の3回(約1ヶ月半)で問題解決パートを実施します。

この科目はグロービスのMBAの必修科目にもなっているので、同じクラスにMBAの学生の方もいました(私は単純に単科で受けただけですが)

毎回ケース問題の宿題があり、1~2ページのレポートにして提出することが求められます。さらに、意識の高い方々が多いので、講師がキーマンをたきつけて自主勉強会を実施するよう勧めます。というより、自主勉強会をやらないと、自習と講義だけでは理解が追い付かないんです。もちろん、私も全体の半分ぐらい勉強会を主宰をしました(勉強会はほぼ毎週やってました)。

で、じゃぁどんな内容なのかをご説明します。

ビジネスシーンで論理的であることは?

「論理的であること」とはどういう状態のことを指すのでしょうか?教科書的には帰納と演繹の2つしかありません。

  • 帰納 → 複数の観測事実から共通項を見出し、それを一般法則とすること例)東京都民の平均収入は高い(事実)、神奈川県民の平均収入は高い(事実)、大阪府民の平均年収は高い(事実)
    → 大都会の住民の平均年収は高い
  • 演繹 → ある観察事実に対し、一般法則を適用して、答えを導き出すこと例)ソクラテスは人間だ(観測事実)+人間はいつか死ぬ(一般法則) → ソクラテスはいつか死ぬ

たしかにこの通りなのですが、実際のビジネスシーンで応用するにはもう少し噛み砕く必要があります。

相手の問いにダイレクトに答えること

ビジネスシーンではなく日常生活においても、コミュニケーションをとる際には必ず「相手」が存在します。相手から聞かれたことに対して、きちんと適切な答えを返すこと。これがビジネスにおける論理的であることの第一条件です。

相手から聞かれたことに対してきちんと答えること。「なんだ、あたりまえじゃないか」と思われがちですが、これが意外と難しいのです。次の例を見てみてください。

社長「当社は製造小売業(SPA)に新規参入すべきなのか?」

部長「SPA事業への参入の是非を検討するにあたっては、事業の収益性と競合の動向を十分に分析する必要があります」

どうでしょう?一見正しそうに見えるこのやり取り。しかし部長が見当はずれなことを応えていることに気が付きますか?社長は「新規参入すべきか?」と聞いています。

これに対し、部長は「新規参入すべき/すべきでない」で回答しなければいけないのです。

しかしながら、「事業の収益性と競合の動向を十分に分析する必要がある」と答えてしまっています。これでは答えになっていません。社長に出直してこいと怒鳴られて終了です。

このようなこと、よくありませんか?

相手が納得している状態になること

では相手の問いにダイレクトに答えることができたとして、果たしてそれで論理的であるといえるでしょうか?

答えはNoです。先ほどの例で考えてみましょう。

社長「当社は製造小売業(SPA)に新規参入すべきなのか?」

部長「参入すべきです!」

社長「・・・で?なぜそう思う?」

部長「それは~その~~~~・・・」

問いにダイレクトに答えていたとしても、社長からの「なぜ?」の問いに答えられていませんね。相手の問いにダイレクトに答えると同時に、相手が納得できるだけの根拠を示す必要があります。そして、相手に「なるほど、そうなのか!」と思ってもらうことがビジネスにおける論理的であることの必要条件なのです。

どうやれば相手の問いにダイレクトに答えることが出来るのか?

最初にイシューを抑える

では、どうすれば相手の問いにダイレクトに答えることが出来るのでしょうか。一番大事なのは、「相手が聴いていることをきちんと問いなおすこと」です。オウム返しのように自分で言ってみること。

さきほどの例で見てみましょう。

社長「当社は製造小売業(SPA)に新規参入すべきなのか?」

部長「当社がSPAに参入すべきかどうか、ですね。それは・・・」

このように相手の問いをしっかり抑えることを、クリティカルシンキングでは「イシューを抑える」といいます。さきほど示した部長の的はずれな答えは、イシューを抑えきれていないから出てきた答えですね。

後にも先にもこのイシューをしっかりと抑えること。そんなの簡単にできるよと思わずに、オウム返しをきちんとやることが大事です。ここを疎かにすると、いつまでたっても論理的に考えることはできません。小さなこと、簡単だと思えること、当たり前にやっていると思うことを、再度ちゃんとアタリマエにやることが大事です。

イシューをしつこく抑え続ける

イシューをまず抑えれば、それで相手の問に対してダイレクトに答えが出せるようになるのでしょうか?答えはNoです。なぜか?それは、イシューを一回抑えても、その後に色々と考えているうちに抑えたはずのイシューを忘れてしまうからです。

たとえば以下のような問いが合った場合を考えてみましょう。

「日本は原子力発電から全面撤退すべきである」という議論に対し、賛成/反対の立場を明確にし、理由と合わせて説明してください。

この場合、イシューは何でしょうか?

イシュー=「原発から撤退すべきか?」

ですね。そして、次に起こりがちなのが以下の図のような状態です。

どうでしょうか。最初にイシューを抑えているにも関わらず、最終的に出した答えが

「原発は注意して利用することが必要だ」

となっています。これは、「原発から撤退すべきか?」という問に対してダイレクトに答えているでしょうか?答えになっていませんよね。

最初にイシューをしっかり抑えたはずなのに・・・。これは以下のような流れで起こっています。

最初はしっかりとイシューを抑えているのですが、次に「まず原発って何から語ろう」に思考が変わり、さらに「原発のメリットとデメリットは何?」という思考に変わってしまっています。最初にイシューを抑えたとしても、人間の思考は複数のことを同時に考えられないようにできていますから、思考の軸を移した瞬間にイシューを抑えきれなくなってしまうのです。

これを防ぐにはどうすればよいか。

あとでも詳しく説明しますが、

  1. イシューに対する答えを言い切ること
  2. イシューに対する答えを支える根拠を先に考えること

が必要になってきます。ここまで来ると、どうやれば相手に納得してもらえるかにも絡んでくるので、それも交えて説明しましょう。

どうやれば相手が納得している状態を作れるのか?

イシューにダイレクトな枠組みを捉える

さきほど、

  1. イシューに対する答えを言い切ること
  2. イシューに対する答えを支える根拠を先に考えること

が必要であると説明しました。たとえば、原発の例であれば、「原発から撤退すべき/すべきでない」を先に言い切ってしまうということです。「そんなもん、ちゃんと根拠を考えてじゃないと言いきれないじゃないか」という怒号が飛んできそうですね(笑)。はい、わかってます。おっしゃるとおりです。ですから、ここでは、答えを一旦仮置きするとしてください。仮置きでも言い切ること、これがとても大事ですので。

そして、ここからが本番。

イシューに対する答えを支える根拠を考えること。このときに最も大事なのは、多面的な枠組みをひねり出すことです。

たとえば、以下のように枠組みを考えた場合、納得感はあるでしょうか?

  • イシューに対する答え → 原発からは撤退すべきである
    • 枠組み① → 放射能漏れのリスクがあるから
    • 枠組み② → 運用が難しいから
    • 枠組み③ → 危険だから

この例では、実は1つのことしか言えていません。

「原発からは撤退すべきである。なぜなら、危険だから」

これだけなのです。運用が難しい、放射能漏れのリスクがあるという枠組みも一見正しいように見えますが、危険であることの根拠になっているだけなのです。これで納得感のある答えと言えるでしょうか?小学生レベルの答えにしか見えませんよね?

多面的な枠組みを考えるとすると、たとえば以下のようになります。

  • イシューに対する答え → 原発からは撤退すべきである
    • 枠組み① → 危険だから
    • 枠組み② → 代替エネルギーがきちんとあるから
    • 枠組み③ → 原発以外でも雇用創出が可能である

いかがでしょう?

枠組み①では危険性についての根拠を示し、枠組み②では原発から撤退した際の代替エネルギーについて触れ、枠組み③では地域の雇用について根拠を示しています。すべて別の面からのアプローチですよね。

このように多面的に考えていくことが大事です。

そしてさらに、この先の根拠、すなわち、危険な根拠、代替エネルギーがあるという根拠、雇用創出が可能である根拠を導いていきます。

イシューを抑えてダイレクトな枠組みを作って相手に応えるだけでもかなり説得力のある内容になります。

私はこの手法をフルに使って一橋大学のMBAに合格しました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

So What?/Why True ?を繰り返してメッセージをひねり出す

今までやってきたプロセスを図で示すと以下のようになります。

これをクリティカルシンキングでは「ピラミッドストラクチャー」と呼びます。この構造はさまざまな書籍で取り上げられていて、呼び名は書籍によって違います。ロジックツリーと呼んでいる書籍もあれば、イシューツリーと呼んでいる書籍もあります。ぶっちゃけ呼び名はどうでもいいです(笑)

大事なのは、今までやってきた

  1. イシューを抑えること、抑え続けること
  2. イシューに対する答えのメッセージを持つこと(仮置きでいいといったやつです)
  3. 枠組みを考えること

がきちんと手順として示されていれば呼び名はなんでもOKです。

そして、枠組みを考えたあとに行うのが、情報をグルーピングして枠組みの根拠を作り上げることです。

たとえば、「原発は危険である」という枠組みに対する根拠は、以下のようになります。

  • イシューに対する答え → 原発からは撤退すべきである
    • 枠組み① → 危険だから
      • 根拠①「事故を起こしたときの被害が甚大であるから」
      • 根拠②「事故のリスクが完全に回避できないから」

しかし、この根拠がなかなか出てこないこともあります。そのときに役に立つのが、「So What?/Why True ?」を自問自答することです。日本語に訳すると「それで?/どうして?本当に?」といったところ。自分で導いた枠組みに対して、「どうして?本当に?」と問いかけます。逆に、根拠に対しては「それで?」と問いかけます。上の例であれば、以下のようになります。

原発からは撤退すべきである
それで?↑↓どうして?
危険だから
それで?↑↓どうして?
事故を起こしたときの被害が甚大であるから

これを1回だけではなく、何回も自問自答することが大事です。これがクリティカルシンキングの一番のキモ。これをやるのとやらないのでは、出来上がる論理の完成度が全く違ってきます。

これでピラミッドストラクチャーを作り上げると以下のようになります。

まとめ

クリティカルシンキングのプロセスについて長々とお話してきましたが、まとめると以下のようになります。

①イシューを抑える、抑え続ける
②イシューに対する答えのメッセージを仮置きで良いので決める
③論理の枠組みを複数考える
④情報をグルーピングする
⑤SoWhat?/WhyTrue?を繰り返してメッセージを抽出する

この流れでピラミッドストラクチャーを完成させれば、これをもとにしてプレゼンの資料も作れますし、メールを書くこともできます。もちろん、先に出てきたような「SPA事業に参入すべきか」という問に対して、社長が納得するだけの答えを作り出すことができます。

クリティカルシンキングに取り組むことで自分の思考の癖がわかってきます。たとえば、SoWhatが苦手だとか、イシューに対する答えの方向性がトンチンカンだとか・・・。

そのように自分の思考の癖と向き合い、ピラミッドストラクチャーに当てはめて思考の矯正を繰り返すことによって、論理的な思考力の瞬発力を鍛えることができます。

ぜひ取り組んでみてください。

クリティカルシンキングの次は以下のページでさらに学びを深めましょう!

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