宇宙兄弟に学ぶ7つの習慣(第2の習慣:終わりを思い描くことから始める)

投稿者: | 2020年10月4日

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序章で「インサイド・アウトの姿勢」と「パラダイムとそのシフト」、第1の習慣として「刺激と反応の間の選択」と「関心の輪/影響の輪」について説明しました。今回は第2の習慣について、また宇宙兄弟の内容を交えて考えていきたいと思います。

すべてのものは二度つくられる

第2の習慣である「終わりを思い描くことからはじめる」とは、ありていに言ってしまうと「自分の人生の最後を思い描き、それを念頭に置いて今日という一日を始めること」です。

こう言われても、自分の人生の最後なんてピンとこない方のほうが多いでしょう。本書にはこう記されています。

自分の葬儀で述べてもらいたい弔事を真剣に考えてみてほしい。それがあなたの成功の定義になる。これまで思っていた成功とは全く違うかもしれない。名声や業績を努力して手にすること、あるいは金持ちになることを成功だと思っているかもしれない。しかし、梯子をかけるべき正しい壁の端っこですら無いかも知れないのだ。

終わりを思い描くことからはじめると、目の前にこれまでとは違う視野が広がる。二人の男性が共通の友人の葬儀に出席していた。一方の男性が「彼はいくら遺したんだい?」と尋ねた。もうひとりは思慮深く答えた。

「すべて遺したさ、彼自身をね」

本書P.120より抜粋

もう少し身近な例で考えてみましょう。たとえば、現在仕事で取り組んでいる新商品開発販売プロジェクトがあったとします。そのプロジェクトの「終わり」はどんな状態でしょうか?

財務的な指標(売上や利益)はどのくらい?新商品のシェアはリーダー商品と比べてどのくらい?口コミやSNSでの反応はどんな状態?プロジェクトメンバーの様子は?

このように、ご自身が取り組んでいる何らかの課題(仕事でもプライベートでもなんでも)のご自身の考える「望ましい」状態を終わりと考えるとわかりやすいと思います。

そして、この「終わりを思い描くことから考える」習慣は、「すべてのものは二度作られる」という考えに基づいています。すべてのものはまず頭の中で創造され(第一の創造)、次に実際に形あるものとして創造されます(第二の創造)。

先程のプロジェクトの例でいうと、第一の創造はプロジェクト計画でプロジェクト完了の状態を明確に定義しておくことです。第二の創造は、実際にプロジェクトを実行して完了させることです。明確なプロジェクト計画がなければ、プロジェクトの成功はありえません。

「なんだ、あたりまえじゃないか」

と思った方、いらっしゃると思います。しかし、ことが当たり前に進めば、世の中のありとあらゆるプロジェクトは成功しています。でもそうはなっていません。なぜか?

それは、第一の創造が常に意識的に行われているとは限らないからです。本書ではこのように説明されています。

日々の生活の中で自覚を育て責任を持って第一の創造を行えるようにならなければ、自分の人生の行方を影響の輪の外にある状況や他の人たちに委ねてしまうことになる。家族や同僚から押し付けられる脚本どおりに生き、他者の思惑に従い、幼い頃に教え込まれた価値観、あるいは訓練や条件づけによって出来上がった脚本を演じるという、周りのプレッシャーに反応するだけの生き方になる。

本書122ページより抜粋

自分の中で「自覚」(序章で説明)を育て、責任を持って第一の創造を行うこと。それによって自分の人生を自分の手で描くことが出来るようになります。自覚とは、自分自身を客観視する認識のことであると説明したかと思います。

第一の創造ができて初めて、主体的な自分自身が第二の創造を行うことができるのです。

では、宇宙兄弟をつかって第一の創造について理解を深めていきましょう。

誰よりも月に一番近いところにいたムッタ

前回の第1の習慣で「できることだけに集中しようと決めたムッタ」について説明しました。宇宙という関心の輪の中で、「今この訓練を最高のものにする」という、自分自身のコントロールの及ぶ範囲に意識を集中することで、影響の輪を広げた、という話でしたね。

このNEEMO訓練の結果、ムッタはNASA上層部から「海底20mでのこの2週間、彼は他の誰よりも月面にいた」と評価されます。どういうことかというと、ムッタがNEEMO訓練で最後に土壇場で仕上げたモノが、”実際に月面基地で過ごした宇宙飛行士が気づいたようなアイデア”と評されたわけです。

具体的には、海底を月面に見立てて作っていた月面基地の模型に、パネルとミラーフィルムで作った鏡を利用して太陽光を取り込む仕組みを作ったのです。月面基地は宇宙からの放射線による被爆を防ぐために窓がありません。そのため、危地の中の灯りは基本的に電気でまかないます。しかし何か不測の事態で電力が不足した場合、生存を最優先するために灯りを消す自体になることも考えられます。そのため、節電にもなり基地内を明るく照らせるミラー採光システムを提案して作成したのです。

ケンジを含めた他の飛行士たちは、基地に追加したい新設備という課題を聞いて、基地周辺に建設するものばかり思い浮かべてしまい(それでも訓練の成果としては充分なのですが)、宇宙で実際に”自分たちが生活をする”ことまで気が回っていない状態でした。何度も言いますが、別に基地周辺に建設するものでも全く問題はなく、訓練としては十分な成果なのです。ムッタの発案は、誰も思いつかない、月面にいる宇宙飛行士その人が思いつくようなアイデアだったということです。

なぜムッタはこのアイデアを思いついたのでしょうか。

私が考えるに、7つの習慣でいう「終わりを描くことから考える」が他の飛行士たちよりもより具体的にできていたからではないでしょうか。

物語の序盤、ムッタの「終わり」は「宇宙飛行士になること」でした。そして、宇宙飛行士になったら「月へ行くこと」が次の「終わり」になりました。そしてシャロン博士のALS発症と月面望遠鏡の構想を聞いて、「自分の手で月面望遠鏡を月に作ること」が次の「終わり」になり、それをさらに具体的に考えると、自分たちが長期滞在する月の環境下で、心身ともに健康であり続けてミッションを続けるにはどうすればよいか、という発想に至ったのではないでしょうか。

だから、節電にもなり基地内を明るく照らせるミラー採光システムという「第一の創造」をなし得たのです。終わりをリアルにありありと思い描くことで初めて第一の想像ができるという好例ですね。

内面の中心にあるもの

「終わりを思い描くこと」と簡単に書きました。そして宇宙兄弟での具体例も示しました。さて、それでは「終わりを思い描くこと」は簡単にできることなのでしょうか?

コヴィー博士はこう言います。

自分の葬儀の場面を真剣に思い描いてみて、あなたは一瞬でも、自分の内面の奥深くにある基本的な価値観に触れたはずだ。それはあなたの内面にあって、影響の輪の中心にある。あなたを導く価値観と、つかの間でも触れ合ったのである。

本書P.117より抜粋

終わりを思い描くことで、自分の価値観にふれるはずである、ということですね。価値観とは、何に価値を感じるかの考えの土台になるものです。ですから人それぞれ違います。

コヴィー博士は、終わりを思い描くことから始める習慣を身につけるために、信条あるいは理念を表明したものである「個人のミッション・ステートメント」を書くのが最も効果的であると述べています。そして、本書には多くの人のさまざまなミッションステートメントが紹介されています。まずはこのミッションステートメントをとりあえずは書いてみましょう、ということだと私は解釈しました(なぜなら、あとからいくらでも書き直せるからです。また、あとまで読んで書こうとすると思考が混乱してかけなくなる可能性があると思ったからです。)

本書に紹介されているのは、以下それぞれを影響の輪の中心に位置づけたミッションステートメントです。

  • 配偶者中心
  • 家族中心
  • お金中心
  • 仕事中心
  • 所有物中心
  • 娯楽中心
  • 友人・敵中心
  • 教会中心
  • 自己中心

そして、それらの例を示したあとで、コヴィー博士は以下のように説明しています。

個人のミッションステートメントも、正しい”原則”を土台としていれば、その人にとって揺るぎない基準となる。その人の憲法となり、人生の重要な決断を下す時の基礎となる。変化の渦中にあっても、感情に流されずに日々の生活を営むよりどころとなる。それは、不変の強さを与えてくれるのだ。

本書P.134より抜粋

この「原則」という言葉、今まで何回か出てきています。そしてサラッと流していますが、上記の説明で非常に重要であることがわかります。なぜなら、上記の説明は、言い換えると、「正しい”原則”が土台になっていなければ、個人のミッションステートメントはその人にとって揺るぎない基準になるかどうかわからない」ということだからです。

「原則とは一体何か?」についてここでしっかり向き合っておく必要があります。本書の中で、コヴィー博士は原則について本書のアチラコチラで触れていますが、「コレ」といった具体的な例は示されていません。そこは自分で考えなさい、ということなのかも知れません。いくつか抜粋すると以下のような感じです。

  • 原則は、人類共通の根本的な心理である。人生という布地に美しく、強く、正確に織り込まれる糸である(P.156)
  • 原則と価値観後会を理解することが大切です。原則は自然の法則です。私たちの外にあり、私たちの行動の結果を最終的に決めるものです。価値観は私達の内面にあり、主観的なものです(P.475)
  • 誰でも価値観を持っています。犯罪者にも価値観はあります。価値観は人間の行動を支配します。それに対して原則は行動の結果を支配します。原則は私たちの他に存在する独立したものなのです。原則を意識していようがいまいが、受け入れていようがいまいが、原則は働いています。

そしてこう断言しています。

「時代を超えた不変の原則を人生の中心にすると、効果的に生きるための基本的なパラダイムを得ることができる。それは、他のすべての中心を正すことが出来る原則中心のパラダイムなのだ」と。

とても難解ですね。

最初に自分の葬儀の場面を思い描き、その時に「価値観」に触れたはずだ、と説明しておきながら、その後で「価値観」は誰にでもあるものであって、行動を支配するもので、原則は行動の結果を支配するものなのだ、と断じているのです。

思考を止めずに考え続けましょう。

コヴィー博士の「原則」をP.475~476で読み解くと、人それぞれが持つことができ、それぞれ違う「価値観」ではない、ということになります。価値観はあくまで行動(どう行動するか)を支配し、原則は行動の結果(アウトプット、成果)を支配すると。つまり、どのような行動をとったとしても、原則に則った結果が待っている、と読み解くことが出来ると思います。

であれば、原則とは、「自然の摂理」と読み替えてもよいのかな、と考えました。では自然の摂理とはなんぞ?というわけですが、キリスト教においては「聖書に基づいたキリスト教の人生観」だそうです。ここまで来ると宗教論争になってしまうのですが、”人生観”という言葉は非常に興味深いと思いました。

ここで一旦立ち戻り、原則を「”良い結果を導く”自然の摂理」と少し拡大解釈すると、今度は「善」の概念にぶち当たります。善とはなんぞ?で調べてみたところ、『古代ギリシャにおいてアリストテレスが、ソクラテスが漠然と「徳」(アレテー)と表現し、師であるプラトンがイデア論を背景として「善のイデア」と表現した、(人間・万物の)究極目的を、「最高善」(ト・アリストン)と表現した。』とありました。

つまり、原則とは万物の究極目標とも解釈できるのでは、と考えました。万物の究極目標だから、あれこれ人によって違ってはダメで、原則の具体例として自覚や良心等があるのではないかと。

このあたりは仁や義などをとなえた儒教ともかなり関わりが深そうだと思います。

このモヤモヤ感を抱えたまま、具体例に移っていくのはかなり勇気がいりいます。なにせ、誤解を招く可能性もあるわけですから。しかし、あくまでイチブログ記事。思考を止めずに進めたいと思います。

夢がビジョン

影響の輪の中心にあるものは価値観であるが、価値観と原則が一致していると素晴らしいとコヴィー博士は説明しています。

結論から先に書いてしまいますが、私は宇宙兄弟から学ぶことができることは、「夢」の力ではないかと思うのです。また、「世界最大の大泥棒になる」という夢も存在し得るので、夢は原則ではないと考えます。

ちなみに本書には夢については記載されていません。本書の中では”夢”は”ビジョン”に近いかも知れません。

序章で説明した、インサイド・アウトの例で、ムッタが「俺の敵は、だいたい俺です」と発言した場面を覚えていますでしょうか。その時のムッタのセリフは以下のようなものでした。

俺の敵は、だいたい俺です。自分の”宇宙へ行きたい”っていうをさんざん邪魔して足を引っ張り続けたのは、結局俺でした。他に敵はいません

ここで、夢という言葉が出てきます。

先にも記したとおり、ムッタは少年の頃から「宇宙に行きたい」という夢を持ち続けていました。そして、その夢に従わずに自動車メーカーに就職してしまったがために、弟のヒビトに先を越され、挙句の果てに会社をクビになってしまいます。

ヒビトも夢について言及しています。

ムッタを始めとした宇宙兄弟に出てくるステキなキャラクターたちは、それぞれ夢を持って仕事をしています。もちろん、マンガのテーマが宇宙ですから、宇宙に関わる仕事ですが、宇宙に行くことだけではなく、宇宙に人を飛ばす友人ロケット開発に夢を描く人たちや、宇宙からの帰還船のプロジェクトに夢を描くピコ達技術者など、多種多様な「夢」を持った人たちが登場します。

その中でも、主人公ムッタの夢は人一倍大きかったわけです。

まだ宇宙飛行士選抜試験の途中、先輩宇宙飛行士の紫さんの前で、「一番宇宙飛行士になりたがっているのは俺です」と言い切ってます。

夢が影響の輪の中心にある原則に近いからこその発言であり、この思いがあるからこそ様々な苦難をも乗り越えていけるシビレルストーリーになっているのではないでしょうか。

次回は、第3の習慣「最優先事項を優先する」を主題に、また宇宙兄弟を使って学んでいきましょう。

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